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大量のメールを最低限の手間で漏れなく管理・運用する方法

2019年1月29日

なぜメールで管理するのか

ビジネスでメールを大量にやりとりするには、きちんとした管理や運用が必要になります。来たメールに適当に目を通し、五月雨式に返事をしたりしなかったりしていると、見逃しや二重連絡といったトラブルが発生します。

「たかがメールに手間を割いていられない」ということはわかります。しかし、トータルで業務効率を向上させるためには、管理が必要なのです。
適当に運用していると、余計な手間がかかるようになってしまいます。手間をなくすためにも、効率良く管理する必要があるのです。

ビジネスを高速回転させていくためには、情報を頭の中にしまうのではなく、逆にツールを活用して頭を空っぽにすることが重要です。ビジネスの最前線では、処理を待っているタスクがゼロになることはほとんどありませんから、逆に記憶力で処理することを放棄するのです。その分、クリエイティブな作業に頭を使うことができます。
また、常に仕事に追われているような感覚から解放されるというメリットもあります。

受信トレイは空っぽを目指す

メール管理で最も重要なルールが、「受信トレイを空にすること」です。
基本的に、送られてきたメールはすべて受信トレイに入ります。とはいえ、メールを削除するわけではありません。そのメールを適切に処理したら、別のフォルダに移動させるのです。シンプルなルールですが、いきなりチャレンジしてもなかなかうまくいきません。

毎日の仕事終わりには、必ず受信トレイを空にしてから帰ると決めます。
そのためには、当たり前ですが、何もしていないメールを移動させてはいけません。メールマガジンなら、読み終わったら移動させます。ダイレクトメールなら読まなくてもいいですし、スパムであれば迷惑メールに移動させてもいいでしょう。

ビジネスのメールであれば、返信します。何か業務が発生するものであれば、タスク管理ツールやカレンダーアプリでタスクを作成し、適切なフォルダに移動させます。

一日に届くメールの数や、やりとりする相手が多いほど、この基本を守ることが重要です。
もし、何か見逃しが起きても、帰るときに空にするのですから、最大半日の遅延で済みます。これが従来のように、受信トレイが大量のメールに埋もれている場合、催促が来るまで見つけることはできません。

「◯日にご連絡した件ですが、いかがですか?」と連絡が来たことはありませんか?その日付で探したら、見逃していたメールが見つかり、慌てて返信することになるでしょう。
覚えておいていただきたいのは、おそらく相手はあなたの想像以上に気分を害しているということ、そして、あなたは仕事ができない人というレッテルが貼られるということです。
メールの見逃しには、デメリットしかないのです。

メールは削除しない

メールは削除しません。必ずフォルダに移動します。
最大の理由は、「削除する」という最も無駄な行為をなくすためです。ビジネスを効率化する際、何かのツールやテクニックを導入することも大切ですが、何かをやめることも効果的です。メール管理の場合は、このメール削除がそれにあたります。

もちろん、削除していいメールはあるでしょう。海外からばらまかれるスパムなども不要です。
しかし、その判断をするのが無駄なのです。何も考えずに、頭も使わず、フォルダに移動しましょう。選別に貴重なリソースを使うのはもったいないのです。

そのほかのメリットとしては、万一のミスに対応できるということです。
1日に何百通もメールをさばいていると、誤操作をしてしまう可能性があります。例えば、読後のメールマガジンを保存する「メルマガ」というフォルダに、ビジネスのメールを移動してしまったときにも、検索をかければ見つけることができます。しかし、削除してしまったらそれまでです。

また、あらゆるメールを保存していると、マイデータベースとしても使えます。取引きが終了した企業とのやりとりに、数年後に価値を見いだせるかもしれません。別の部署、例えば営業部の人が、マーケティング部に異動したときに、ダイレクトメールの勉強に役立つかもしれません。

メールは即返信し、その場で移動させるのが基本

メールには基本的に即返信します。
もちろん、会議中や移動中に無理する必要はありませんが、PCの前にいるなら、すぐに返したいところです。とはいえ、即返信には、向き不向きがあります。
自分のマルチタスクの処理能力を考え、どんな作業をしていてもメールが来たら即対応するのか、1時間に1度メールソフトを立ち上げて対応したほうがいいのかを選びましょう。

普通の返信だけでなく、5~10分程度の作業で済むものであれば、その場でリアクションしてしまえば、効率が上がります。特に、文書のレビューなど複数の人で回覧する場合は、自分のところで渋滞させないようにしたいものです。

一定時間ごとにチェックする場合は、そのときのメール処理にまとまった時間を浪費しないように注意が必要です。
1時間仕事をして1時間メールをして、という進め方をしていては、ビジネスが滞ってしまいます。また、夕方にまとめて対応するというのも、先方に迷惑なので避けましょう。

メールの返信が早いのは、仕事ができる人の特徴です。これは、半ば常識です。
一部に、早く返信するのが目的になり、内容のないメールを送る人がいるそうですが、これは単に能力不足です。もし、同僚がそうしているのであれば、誰かがアドバイスをしてあげてください。

後回しにする際はフラグやリマインダーを使う

重要度が高いメールが来たが、どうしても今は対応できないというときは、フラグやリマインダーといった機能を活用しましょう。

使っているメールソフトやメールアプリによって細かい動作は異なりますが、例えば、企業で一番使われているメールソフトのOutlookでは、メールにフラグをつけると、旗のマークがつきます。フラグをつけることによって、そのメールは重要だということを表し、抽出も簡単にできます。次に、メールを処理するタイミングで、優先的に着手すればいいでしょう。
処理が終わったら、フラグを外し、フォルダに移動します。

また、緊急の内容なのに対応できないときは、リマインダー機能を使います。指定したタイミングで、再度受信トレイに表示したり、通知を出してくれたりする機能です。
例えば、Outlookでは、フラグの設定で、リマインドするタイミングを設定できます。

とはいえ、フラグやリマインダーに手をとられるのも避けたいところです。基本的には、即対応して受信トレイを空にするように心掛けるほうが、トータルの作業量を減らすことができます。

オリジナルのテンプレートや辞書を活用する

ビジネスメールでは、最低でも「◯◯株式会社●●様 お世話になっております。△△社の▲▲です」くらいの冒頭から始まり、最後には「今後ともよろしくお願いいたします」といった締めの言葉があり、会社の署名を追加します。
もちろん、相手との関係性によっては、崩すこともあっていいですが、多数のメールを送るのであれば、ここをテンプレート化するのも良いでしょう。挨拶と締めの言葉を登録しておけば、テンプレートを読み込むだけで、すぐに本文を書き始められます。

デメリットとしては、メールアプリやメールサービスによっては、テンプレートを読み込むのに手間がかかることです。さらに、毎度毎度一言一句同じだと、テンプレートを使っていると、相手にばれてしまいかねません。

そこで、筆者は日本語入力辞書を活用しています。
ユーザー辞書に「おせ」を「お世話になっております」とか、「よろ」を「よろしくお願いします」と登録しておくのです。すると、定型的な挨拶を手軽に入力できるようになります。

また、署名は必ずメールアプリやメールサービスに登録し、きちんとフォーマットに則って、毎回必ず入れましょう。自動的に挿入する機能があるなら利用します。
相手との関係性や、何度もやりとりしているかどうかは関係ありません。面倒くさがって初回のやりとり以外に署名を入れない人もいますが、取引先である相手にとっては、ストレスがかかっていることを覚えておいてください。

膨大な迷惑メールに対処する

同じメールアドレスを長く使っていると、どんどん迷惑メールが増えていきます。
ショッピングサイトからのDMや、名刺を交換した相手から送られてくるメルマガなどは、配信停止依頼を出してもいいのですが、数が多いとそれも面倒です。
それに、迷惑メールに反応してしまうと、メールアドレスの生存確認がとれてしまうことで、さらにたくさんの迷惑メールが来るようになる可能性があります。できれば、これも頭を使わずに、自動的に処理したいところです。

やはり簡単なのは、迷惑メールフィルター機能を利用することです。最近の迷惑メールフィルターは精度が高くなり、ほとんどの迷惑メールを除去してくれるようになっています。
よく練られた文面の迷惑メールが除去機能をすり抜けても、手動で移動・削除すればいいだけです。

とはいえ、問題はビジネスメールが迷惑メールとして判別されてしまうことです。そうなると、完全に見逃してしまうことになります。Outlookを使っているなら、迷惑メールのオプションから、処理レベルを「低」にしておいたほうがいいでしょう。あまり、厳密に判別するようにすると、ビジネスメールが迷惑メールに判別される可能性が高まります。

絶対にビジネスメールを見逃したくないのであれば、迷惑メールを手動でブラックリストに入れていく方法があります。
しかし、差出人のメールアドレスは偽装できるので、いたちごっこが続くかもしれません。おすすめは、迷惑メールフィルター機能を使いつつ、定期的に迷惑メールフォルダをざっと見返すことです。万一の漏れをそこで拾えれば、何とかなります。

筆者の感覚では、以前は月に1通は誤判別されていましたが、最近はほとんどビジネスメールが迷惑メールフォルダに混ざってしまうことがなくなりました。

過去のメールを活用するための検索術

蓄積したメールは情報の宝庫です。お目当てのメールを手軽に探し出せるようにしておきましょう。
操作方法はメールアプリやメールサービスごとに異なりますが、一度くらいはヘルプを見ることをおすすめします。全文検索でキーワードを打ち込むだけでは、メールが見つけられないこともあるからです。

まずは、普段から分類しているフォルダで絞り込み、フラグや添付ファイルの有無を選びます。何年間も使っているメールアドレスなら、おおよその受信期間を指定すると精度が高まります。
そうやって大量のメールから絞り込んでいけば、お目当てのメールを見つけることができるでしょう。

逆に、想定していたキーワードで引っかからないこともあります。
その場合は、相手や期間などで絞り込んだ上、関連性のありそうなキーワードで検索してみましょう。例えば、「ID/パスワード情報」と書いた記憶があったのに、実際には「アカウント情報」と書かれていた、ということがよくあるのです。

メール管理を極めれば、効率と評価が上がってミスを減らせる

メール管理は、シンプルなルールで徹底することが重要です。
メール運用に手間がかかっていた時間から解放されれば、これまで以上に業務に集中できますし、仕事ができる人という評価にもつながります。
また、受信メールを空にするわけですから、見逃しなどがなくなります。以前は、タスクリストがどんどん増えていってパンクしたり、どこかで残業して解消したりしていた人も、即対応をすることで、タスクがあまり増えず、最重要課題にリソースを集中できます。
メールを賢く管理・運用し、ビジネスの結果にコミットしましょう。

執筆:柳谷智宣(やなぎやとものり)

IT・ビジネスライター。
飲食店「原価BAR」やウイスキー販売会社などを経営するほか、NPO法人DLISの代表も務める。20年前から、日々膨大な量のメールを送受信しており、とにかく手間をかけずに処理できるように一人働き方改革を推進している。著書に「クラウドの達人はなぜChromeを使うのか」(インプレス)、「銀座のバーがウイスキーを70円で売れるワケ」(日経BP社)、「Twitter Perfect GuideBook」(ソーテック社)などがある。