• プロジェクト管理

優秀なPMの役割とは?

2017年12月18日

プロジェクトを破綻させないために

追加案件が増えたり方向性が変わったり、予期せぬ出来事によりほとんどのプロジェクトには遅延が発生します。だからと言って大抵の場合、顧客や経営者はスケジュールにゆとりをもたせてはくれません。

そんな中でプロジェクトを円滑に進めるためには、QCDの考え方がひとつの指針となります。

Quality/品質

プロジェクトで達成すべきこと

Cost/予算

プロジェクト達成にかけてよい金額

Delivery/期限

達成事項を実現させるまでの締切

スタート時に設定した最終的なゴールであるQCDを達成することが出来れば、プロジェクトは成功したと言えるのです。したがって、プロジェクトにおけるQCDの中身を、経営者や顧客とプロジェクトマネージャー(以下、PM)の間で確実に合意した上で、プロジェクトをスタートさせることが必要です。

優れたプロジェクトマネージャーの思考

まず、物事を客観的に見ることがPMに必要な能力になります。全体の進捗や問題点をはじめ、現状の自分の立ち位置まで、すべてをニュートラルに把握するためにはスタート前の準備が肝心です。そこで優秀なPMは、プロジェクト全体を段階「フェーズ」で分けて「クリティカルパス」を可視化します。

大まかなフェーズ分けの例

構想フェーズ

取り組むべき課題と解決の方向性を整理する

要件定義フェーズ

顧客が実現させたいことと希望する事項を確認する

設計フェーズ

顧客の要求を元に設計図を作る

開発フェーズ

設計に沿って実際に作成する

テストフェーズ

組み上がったものに問題点がないかテストする

クリティカルパス分析の進め方

クリティカルパス分析の進め方

全体を細分化し、広い視点と狭い視点でプロジェクトの全容と細部を理解します。その上で各フェーズに対して、それぞれQCDの目標値(=ゴール)を定めましょう。

例えば「開発が始まっているのに、そもそも骨組みが確定していない」となると高確率で手戻りが発生します。最悪の場合は、それまでの作業が全てやり直しになる可能性もあるでしょう。つまり設計フェーズに移行するためには、要件定義のゴールを達成しなければいけないのです。

現場を混乱させないために

PMが経験則で「構想フェーズは7割まで進んでいる」などと判断するのは大変危険な行為です。フェーズごとのQCDの達成値を客観的に判断できるように「顧客からの要望の数をカウントし、それに対する解決策の有無、作業にかかる所要時間や必要経費を算出し表で記す」など、プロジェクトのあらゆる要素を細分化、数値化をしましょう。数値化はスタートの段階で設定するものですが、初めて取り組む仕事の場合は判断が難しいものもあります。プロジェクト進行中でも微調整は可能ですので、ある程度は仮定でも構いません。

事前に数値化しておけば顧客やスタッフとの情報共有が円滑に行えるだけでなく、突発的なトラブルなどの対応にも役立ちます。

例えば、作業にかかる必要経費を算出し表にしていれば、顧客から突然の追加要求があっても、人員や納期に及ぼす影響を金額に換算して簡単に説明できるため交渉はスムーズに進みます。新しい要求を組み込むための追加コストが、全体の予算内に収まっているのか、はみ出すのかを数値で説明できるようになっていれば顧客としても決断が容易です。

また例えば、所要時間を算出し表にしていれば、顧客が対応しなければ進まない案件が遅れた場合、その影響も説明できるため、スケジュールの交渉もしやすくなります。

進捗を停止させないための対策

「上手に作業を進めたい」だけでなく「成功しているように見せたい」というのが人の本音であり、発生したトラブルを報告することには誰しも抵抗があるものです。したがって、今発生している課題をメンバーに報告させるのではなく、今後発生しそうなリスクを予め共有してもらうようにメンバーへの問いかけを工夫しましょう。未来の話をしているためメンバーは報告への抵抗がなく、PMとしても適切なアドバイスを事前に行うことができます。
スタッフ個人で解決できない問題は、プロジェクト全体で手を打つことも大切です。絶対に遅れてはいけないフェーズにトラブルが発生した場合は、人員を追加投入してでもプロジェクト全体のQCDを守らなければいけません。

目の前の火だけをあわてて消すPMは、いつか必ず大火事を起こします。トラブルが発生した場合は、他に飛び火した際に影響が大きい箇所から順番に消火していきましょう。

自分の方法論として形にすること

トラブルを解決した後には、恒久的な対策を模索することも重要です。原因を分析して、同じことが発生しないように先手を打つのです。そしてプロジェクトが終わった後には、悪かった点だけでなく、良かった点も含めて、プロジェクト全体でレビューをしてください。それを自分だけではなく、他のスタッフにも共有すれば社内全体の財産になります。

PMの仕事は、現実を受け止め、原因となる過去を探り、未来の結果を巧みに予測することです。そうして日進月歩で自分と会社を進化させ続けること、それが優秀なPMの役割なのです。

監修者:安部慶喜

アビームコンサルティング株式会社執行役員。金融、商社、製造業、サービス業といった各種業界向けに経営改革、組織改革、働き方改革など幅広い領域のコンサルティング業務を行う。プレゼンテーションやドキュメンテーションの講師としても活躍するほか著書に『OracleEBS導入ガイド』もあり。